一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 恩未さんと紡生さんは、経営を麻王グループへ任せることができ、自分たちの仕事に集中しているせいか、大きなショーへ参加を決めたようだ。
 それだけでも、二人が今まで手一杯だったのだとわかる。
 これからは、カジュアルなものだけでなく、フォーマルな服も作っていくようだ。
 スーツが大好きな恩未さんが、大喜びしたことは、言うまでもない。

「スランプだったデザイン画も、最近はたくさん描けちゃうし。いやぁ、魔王さまさまだよ~!」

 いえーいっと紡生さんが栄養ドリンクを片手に持ちながら、ピースをした。
 ノリノリな紡生さんだけど、その背後には――

「これくらいで喜んでもらっては困る」
「ひっ! 魔王!」

 ――理世がいた。

「誰が魔王だ」

 現れた理世の手には、先日、提出したデザイン画があり、採用分とボツにわけられていた。
 デザイン画を事務所の中央にある広いテーブルに置く。

「ぐっ!? ショーのデザイン画が、ほとんどボツになってる……」
「シンプルが悪いとは言わないが、ショーにしては地味に見える」
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