一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
「大丈夫。寮に入っていたほうが、来年、同じ学年になる子たちと仲良くなれるでしょ」

 千歳の言う通りだった。
 反論できず、しょんぼりした。

 ――そうなのよね。昔から、千歳のほうがしっかりしていて、私はどっちかといえば、ぼんやり気味だった。

 千歳が元気だったら、姉と妹の立場が逆転していたはずだ。
 今も怪しいけど、姉らしいことができていると思いたい。

「心配してる気持ちもわかってよ?」
「はいはい」

 千歳から、笑ってかわされてしまった。
 まだ通院しているし、私が安心するのは、きっと千歳がお嫁に行く時だろう。
 
 ――でも、買い物を一緒に行けるくらい元気になったのは、本当に奇跡。理世が選んでくれた病院も専門の先生がいて心強いし、千歳のためでもあるけど、私のためでもあったよね。

 安心して、一緒に普通のことができる。
 これが、なによりも私には嬉しい。
 だから、今日は寮に入る千歳のために、身の回りの物を買いに、駅前のショッピングビルを巡り、必要な物を揃えていた。

「ね、お姉ちゃん。姉妹揃っての買い物なんて、何年ぶりかな?」
「夏祭り以来かも」
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