一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 そう口に出してみたけれど、あの馬鹿にした態度を思い出して、気持ちが沈んだ。
 『Lorelei(ローレライ)』のロゴが入った紙袋が目に入り、紙袋からブーケとワンピースを取り出す。

「嫌なこともあったけど、あのぶつかった人は、すごく綺麗な男の人で、親切だったわよね。それに、リセにどことなく似ていたかも」

 モデルのリセは中性的な美しさがあり、私の憧れである。

「リセは女性なのに、男の人に似ているなんて失礼かもしれないけど。雰囲気が似てる気がしたのよね……」

 ブーケを眺めていると、少し元気が出て、これをドライフラワーにしようと思いついた。
 花は一本ずつバラバラにして、紐に吊るす。
 一瞬の出会いは、まるで夢でも見ていたかのようだった。
 ただ素敵な人だったことは、しっかり覚えている。
 きっと周りには女の人がたくさんいて、モテモテな人に違いない。

「待って? もしかしたら、メンズモデルか俳優だったりして……」

 それくらいカリスマオーラを感じた。
 男性なのに、花嫁のブーケを持っていても違和感がまったくないのもすごい話だ。
 むしろ似合ってた。
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