一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 紡生さんはちょっとスネたように言った。

『本当はすっごく行きたかったんだよぉー! ショーに招待されてたのにさぁ』
「ファッションショーですか!?」
『そーよ!それも『Lorelei(ローレライ)』が出るんだよ! 夢だよね。パリのファッションショーの舞台で、自分がデザインした服をトップモデルに着てもらう。あー、いーなー』
「さすが『Lorelei(ローレライ)』ですね」

 ちらりと見たのは今日、継母に渡されて私が着ることになった『Lorelei(ローレライ)』のワンピース。
 ショーを間近で見られるのかと思うと、すでに胸がドキドキした。
 しかもフランス、パリ!

「ありがたく行かせていただきます!」

 もちろん、私は快く引き受けた。
 今、日本にいたくなかったのもある。
 啓雅さんと二人でなんて会いたくない。
 少なくとも日本にいなければ、絶対に会えない。
 電話を切ると、すぐにスーツケースを取り出し、出発の準備に取りかかった。
 私はまるで、ここから逃げるようにして、パリへと向かったのだった。
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