一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 テーブルには仔牛の煮込み、チーズリゾット、鴨のローストを添えたグリーンサラダ、フライドポテトやムール貝の白ワイン蒸しが並び、量が多くて食べきれるか心配なくらいだった。

「モデルなのにこんなに食べて大丈夫ですか!?」
「平気だよ」
「うらやましい。太りにくい体質なんですね」
「いつも食べているわけじゃないから」
「そうですけど」

 私はリンゴの香りがするシードルを飲みながら、恨めしい気持ちで、その細身の体を見た。
 神様は不公平だ。
 同じ人間なのにこれほどまで体のつくりに差を出すなんて。
 でも、今、私たちの差はわずか。
 一瞬の夢みたいな時間を楽しもうと思った。
 私とリセの会話は弾み、お酒の勢いもあって、つい私は、自分のことをいろいろ語ってしまった。
 学校を出てデザイナーになったところから、お見合いまで延々と話し、途中はもう愚痴である。
 楽しい話ではないのに、リセは私の話を聞いてくれた。

「なるほどね。琉永(るな)はデザイナーになるのが夢だったんだ」
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