一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
第12話 君の知らない俺【理世】
 レストランの窓から、ビル群を見下ろす。
 さっきまで青空がのぞき、晴れていたのに、空は再び灰色に覆われ、雨を降らせていた。
 
 ――不安定な天気だな。

 雨が降ろうが、槍が降ろうが、麻王(あさお)の親族が集まる会食は絶対だ。

理世(りせ)。憂鬱そうな顔をするなよ。俺だって、仕方なく昼食会にきてるんだぞ」

 ――俺が憂鬱な理由の半分は、悠世(ゆうせい)のせいだ。

 ファッションビルの近くのホテルが、昼食会の会場で、ついでに立ち寄ろうと悠世から言い出した。
 それで、こっちはアパレル部門の売り上げを確認していたのだが、気づいたら、悠世がいなくなっていた。
 探しに行けば、人が大勢集まり、通路を塞ぐまでの混乱ぶりだ。

 ――まったく、自由すぎる。
 
 それに、琉永(るな)が働いているブランド、『Fill(フィル)』の服を見るつもりが、それもできなくなった。

「俺はけっこう楽しんだけどね。ひさしぶりに雑多な空間を見た」
「雑多か。悠世が作る服とは違う」
「わかってるよ。それを考慮して、分析していたけど、気になったのは『Fill(フィル)』だけかな」
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