一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 ――悠世は琉永(るな)に気づいたのか?

 いや、まさかなと思いながら、勘のいい悠世を完全に否定できなかった。
 俺と悠世が、二人でなにを話しているのか気になる他の親族たちは、チラチラこちらを見ているのがわかった。
 月一回の会食は、麻王グループ会長の祖父が決めた決まりごとのひとつだ。
 会食の場を選んだのは、社長の父で、祖父が懇意にしていた料理人が調理長となったと聞いて、この和食レストランに決めたのだろう。
 食事を楽しむというより、グループ全体の今後の経営の方針を確認するために行われる会食で、これも仕事のうちだ。

「理世。悠世の『Lorelei(ローレライ)』はどうだ」

 祖父は悠世ではなく、俺に尋ねる。

「売り上げは順調ですね。ローレライというイメージモデルが、ブランドの価値を上げてます。メディア露出はギリギリまでにし、止めていますが、オファーはたくさん来ています」

 ミュージックビデオの撮影が、悠世の許した範囲で、映画もドラマもすべて断っている。

「悠世。もっとメディアに出せばどうだ? いい広告になるだろう」

 父が悠世に言ったが、それを軽く笑い飛ばした。
< 92 / 260 >

この作品をシェア

pagetop