政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
そして、先日からは夜も一緒のベッドで寝ている。

 すやすやと自分の横で眠る浅緋を見ているのは、幸せでありながらも片倉は自分の大きな何かを犠牲にしているような気がする。

 もちろん、いつかは大人の夜を過ごすつもりではあるが、浅緋を守ると宣言した以上、自分が浅緋を怖がらせるわけにはいかないと、いまだ片倉は様子を見ているのだ。

 けれど少しずつ、自分にも接触にも慣れてほしいというのは本心だ。

 浅緋は先日のプロポーズがとても嬉しかった。
 今度は父のこととは関係なく、2人で決めた2人の意志だと確認できたから。

 もう政略結婚と他人に言われても気にならないし、気にしないと決めている。
 本当のことを2人だけは分かっているから。

 けれど……今朝一緒に休日を過ごすことになり、食事を終え片づけをした後、相談をしたいと言った浅緋を片倉がさっさと膝の上に浅緋を乗せてしまったのは一体どういうことなのだろうか?

『あの……この状態でお話するんでしょうか?』
 そう尋ねた浅緋に
『夫婦になるんですから当然ですね』
と片倉に真っ直ぐな目で返されたのだが、そんなことあるのだろうか。
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