政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
 少なくとも浅緋の家ではそんな光景を見たことはないと思うのだが。

 けれど片倉の真っ直ぐな目に嘘はないと思うし、浅緋も嫌という訳ではないので、素直に膝の上で相談を始めたのだ。

「何を迷っているのかな?」
『桜華会』の件だった。

「父を亡くしたばかりでいいのかなって」
「偲ぶ会的なものにするというのもありだと思うよ」

 父は経営に関することは正式に遺言で残してくれているが、このような個人的な会については触れていなかったのだ。

「もちろん思い切って止めるという選択肢もある」
「でも、皆さん楽しみにしていらっしゃって……」

「迷うね」
 片倉はふん……といって顎に手を当てて、思案するような表情だ。そんな顔も素敵だわ、と浅緋はつい見とれてしまう。

 そうして、浅緋がこそっと動こうとすると、片倉にきゅっと抱きなおされてしまうのだ。

「どこに行くの?」
「あ……いえ、重いかなって」

「重くはないし、この距離感が幸せなんだよ。普段は夜は堪能できないんだ。今日は浅緋を堪能させてほしい」
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