政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
 とさっ……と音がしたのは、浅緋がベッドに倒れた音で、片倉は浅緋の両手を握って上から浅緋を見ていた。
 熱に浮かされたような瞳は、普段は見ないものだった。

「浅緋……」
 名前を呼ばれるだけで、身体がぞくんとすることがあるなんて、知らなかった。

「……っあ……」
 唇を重ねた片倉が、その唇を頬に滑らせ、浅緋の首元に軽く口付けする。

「怖い……?」
 片倉の唇が首元に触れた時、思ったよりもぞくんっとして、足元がもどかしいような、心もとないような気持ちになったのだ。

 だからつい、ぎゅうっと目を瞑ってしまっていた浅緋の顔を心配げに片倉が覗き込んでいた。

 一生懸命考えたプレゼントの意味を伝えなくては、と浅緋は必死で口を開く。

「あの……っ、プレゼントの意味を考えてみたんです」
「ふん……?」

 そんなことを言っても、浅緋の上から片倉が退いてくれる気配はなかった。

 浅緋はそのままで話し始める。
「ネックレスの贈り物は『絆を深めたい・永遠に繋がっていたい』でした。香水は『親密になりたい・独占したい』だったんです」
「ああ、なるほどね」
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