政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
 唇が徐々に降りていって、首元に柔らかくキスをされた。

 ぞくぞくっと背中を走る感覚と足元の心もとなさに膝をきゅっとしたら、膝の間には片倉の足があって、結果その足をきゅうっと浅緋が挟むことになる。

 それに気づいた片倉が浅緋の耳元で囁いた。
「気持ちいいの? 浅緋。足がぎゅうってしてる」

 これが気持ちいいということなんだと浅緋にも分かってきた。
 こくっと頷くだけで精一杯だけれども。

 その時、片倉の指の背が優しく浅緋の胸の先端に触れたのだ。

「んっ……」
「首……弱いんだな。さっき、キスしたらこっちも尖ってた。浅緋は感じやすいみたいだ」
 耳元では低くて甘い声。

 なのにそれはなんだか、淫らだと言われたような気がして、泣きそうになる浅緋だ。

「それって……」
「すごく、いい」
「え……? だって、感じやすいって……淫らなのでは……?」

「僕の好きな人が僕の手で淫らになるなんて、そんな堪らないことはないな。淫ら……すごく、いい。僕の目の前でだけ、淫らになってほしいよ」
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