政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
「はい」
 にっこり笑って浅緋はそう返事をしたのだった。



 桜華会当日は驚くぐらいの快晴だった。
 雲一つない澄み切った青空に園村家の庭の緑の芝が映えている。

 桜華会用の緋毛氈(ひもうせん)の赤がそのコントラストに華を添えていた。
 それを見ながら、ふと子供の頃のことを思い出す。


「浅緋、これはお前の色だよ」
 父は緋毛氈に座って、横に座った浅緋の頭を撫でながらそう言った。

「私の色?」
「茜で染めた緋色、浅緋(あさあけ)と書いて浅緋、と言うんだ。お雛様にも敷いてあるだろう?」

 確かにお雛様にも赤い布が敷いてあった。
「あの赤はね、魔を避けると言われているんだよ」
「魔を……?」

 難しくてよく分からなかった言葉を繰り返した浅緋を、父の大きな手が頭を撫でた、その様子を浅緋は急に思い出したのだ。

 愛されていた。
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