政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
　片倉が代表をしているベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業やスタートアップ企業など、高い成長が予想される、まだ上場していない会社に出資を行う投資会社だ。

　未上場時に投資を行い、投資先の企業が上場や成長した後に株式を売却したり、事業を売却して儲けを得る。

　その中でも片倉の会社は、ただ未上場企業に資金を投下するだけはなく資金投下と同時に、ハンズオンと呼ばれる経営支援を行うことで有名だ。

　企業価値が向上すれば、利益はより高まる。
　そのために今回派遣されているのが、槙野祐輔なのだ。

　槙野は今までもいくつもの会社の利益を上げ、その経営を安定させてきた。

　その槙野と片倉は、実は高校時代からの友人でもあるのだ。

　そもそも、片倉がこの仕事を始めるきっかけになったのは、槙野の父がやっていた会社が傾いたことが理由のひとつだ。

　事業は悪くないのに経営が上手くいかない、というのは実はよくある話で、そのために必要な資金を調達するために片倉は会社を作った。

　最初は本当に小さな規模からスタートしたのだ。

　そんな小さな規模だった頃に、片倉達が経営支援をしていたある会社を、取引によって何度も救っていたのが園村ホールディングスだった。
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