政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
 片倉自身も、積極的で騒がしい女性はあまり好みではない。どちらかと言うと落ち着いていて、物静かな女性が好みだ。
 
 そういう意味でも、浅緋は好みではあるのだが……。

「彼女の気持ちもあるでしょうに」
「浅緋はおそらく誰とも付き合ったことはない」

 片倉は思わず手で口元を抑えてしまった。
 片倉好みの落ち着いていて物静かな女性が、誰の手もつかずにそこにいる、というのか。

「それ、僕に託していいんですか?」
「もし君じゃなかったら、いつの日か見も知らないやつのものになる、ということなんだろうな」

 それを想像すると片倉はなんだか業腹な気もする。
「いいんでしょうか?こんなことを僕らで決めてしまって」

「浅緋は積極性はあまりないと言っただろう。こっちがちょっと強引なくらいに決めなかったら、あいつ永遠に結婚なんてしないんじゃないか。ただでさえ、人見知りなのに。君が嫌なら諦めるが」

「そんなことはないです」
 思わず即答してしまったら、園村が笑っているのが目に入って、片倉はため息をついた。

 若造のころから知られている園村には、片倉も逆らいがたいし、こんな風に見抜かれてしまっても別に気分は悪くない。
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