僕惚れ③『家族が増えました』
 そうしながら、中途半端にずり上げられたブラに押さえつけられるようにしてはみ出した葵咲(きさき)の胸に舌を這わせる。

 先端のかわいいしこりを口に含んだ瞬間、
「あんっ、り、ひとっ……」
 葵咲が、絡められた理人(りひと)の指をギュッと握りしめて刺激に耐えた。

 眉根を寄せるその表情が何とも色っぽくて、理人はもっと、と思ってしまってから
(あー! だからそうじゃないだろ、僕!)
 と、自分を叱責(しっせき)すると、葵咲の胸から顔を上げた。

 唇を離すとき、わざと固く立ち上がった先端をチュッと吸い上げるように刺激を与えてしまったのは、もはや無意識だ。

「ひゃ、ぁんっ」
 葵咲が突然の快感に、驚いたように可愛い声で(あえ)ぐのでさえ、今の理人には危険なのに。

 理人は葵咲の指に絡めた手を離すと、彼女をうつ伏せにした。

 片手で両腕を(いまし)めるようにマットレスへ縫いとめてから、彼女の上に覆いかぶさると、意識を葵咲の左腕に集中する。

 肩口を舐めながら這い降りつつ、少しずつ指先の方へ進む。そうしながら、葵咲の腕を隅々までチェックしていった。

(ん?)
 と、(ひじ)のすぐ上のあたり、いわゆる二の腕――上腕(じょうわん)――の内側ところに本当にうっすらと、赤みを帯びた(あざ)を見つけて。

(指の、あと?)
 そう気づいたら、思わず葵咲をベッドに強く押さえ付けてしまっていた。

「理、人っ、痛い……っ」
 葵咲に言われて初めて、理人は自分が手加減できていなかったことに気づく。

 葵咲の声に少し力を緩めはしたものの、でも彼女を完全に離してあげることもできなくて。

「葵咲、この腕の(あざ)、どうしたの?」

 自分でもはっきりと分かるくらい冷たい声音で葵咲に問いかけていた。
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