魔法の恋の行方・ドラゴンのヘタレ純愛・シリーズ6(グラゴールとエリィ)
「でも・・アンナさん、
聞いてくださいよ!!」
エリィは、
ワインを一気飲みした。
「私、だしにされたんです」
エリィの口調に、怒りがこもっている。
<だし>ってなんだ?
グラゴールは聞き耳を立てた。
エリィのフォークが、
肉にグサリと刺さった。
「その人のお目当ては、なんと姉だったのです!
姉に近づくために、
私に接近したのですよね!!!!
姉の情報を得るために!!
きっかけをつくるために
私にその気にさせて・・
ひどいと思いません?」
アンナは口を押えて
笑いをこらえるのに必死で、
目に涙を浮かべている。
「それで、この間、
結婚式だったんです!
初めて意識して好きになった人が、兄上になっちゃったのですよ?」
あのエリィと初めて会った時の、
結婚式か・・・
グラゴールも口を押えた。
「別に二人が幸せなら、
私がキューピッド役でも
いいですけれどもねっ!!!!」
そう言って、
エリィは、肉を目いっぱい口に
ほおばった。
かわいい姿が
肉食獣に変化している。
「あらあら、それは災難というか・・
初恋は実らぬものともいいますが」
アンナは、
衝立に隠れているグラゴールに、
言い聞かせるように言った。