魔法の恋の行方・ドラゴンのヘタレ純愛・シリーズ6(グラゴールとエリィ)
「あの、私、
お部屋に忘れ物をして、取りにいきます」
エリィはアンナに声をかけた。

「それでは・・私が」
アンナが言いかけたが、
エリィは、素早く玄関ホールに
戻ってしまった。

エリィは、すぐに書斎に向かって走った。
書斎の扉が開いていた。

その部屋の窓は、開け放たれ、
赤い髪の長身の男の後ろ姿が
・・・見える。
窓から何かを捜すように、身を乗り出していた。

深紅の髪は風に揺れ、2本の赤い角が見えた。

エリィは音を立てないように、
その男の背後に立ち、上着の裾を握って、軽く引っ張った。

「う・・・?」

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