魔法の恋の行方・ドラゴンのヘタレ純愛・シリーズ6(グラゴールとエリィ)
<最後のお別れチャンス・その2>

男が本当に驚いたように、
振り向いた。
ルビーレッドの瞳は、大きく開かれている。
「グラゴール様・・・ですね?」

エリィは
しっかり上着の裾を持ったまま、
まず確認をした。
「どうしてもお礼が言いたくて・・毎日のお花もドレスも・・・」

突然の事で、
グラゴールは固まっていた。

エリィは、
いきなりグラゴールの胸元に、
鼻を近づけた。

「やっぱり月桂樹の葉っぱの匂い・・
神殿でお会いした時も、同じ匂いでした。」
エリィは目を細めて微笑んだ。
「私・・鼻が利くんです」

グラゴールは
大きく息を吐いて、うつむいた。
「その・・
申し訳ない事を、してしまった・・・
どうやって
償ったらいいかわからなくて」

「償っていただくことなど、
何もありません。
でも、ちゃんとお話していただかないと」

「その・・何を・・」
グラゴールは赤くなっていた。

エリィは上着の裾を、
ちょいちょいと引っ張った。
「そうですねぇ・・
ここのお庭に、何を植えたらいいとか、
私が馬にちゃんと乗れるようになったら、
一緒に遠乗りとかに、
付き合っていただけるともっと嬉しいです」

エリィの緑の髪が、風に揺れた。
手はまだ裾を、しっかり握っている。
「神殿で、私の勉強にも付き合ってくださったし、
あと、倒れた時もこちらでお世話になって・・」
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