骨の髄まで愛してやるよ【メイン更新中】
「おい、泣くな。悪いようにはしねぇよ」
そう言われ、顔を上げるように促しされた。すると、視界には秦さんが走ってきている様子が見えて涙が止まらなくなった。
「ちぎ様!!! お怪我は!?」
男性にはその場にゆっくりと下ろされた。
私を性奴隷にするでもなく、奴隷にするわけでもなく、誰かに売り飛ばすわけでもなかった。ただ、本当に私を心配して運んでくれたようで、男性にも「ありがとうございます」と、お礼を言う。
秦さんは私を抱き寄せる。そんな私達を見た男性が秦さんに「おい」と声を掛けた。
「探してたのはコイツでいいんだな?」
「はい、ありがとうございます!」
秦さんは涙を流しながら、何度も何度も、男性にお礼の言葉を口にした。
「……………秦さん、なんで………」
――――見放してほしかったのに。
けれど秦さんの顔を見たら自然と「ごめんなさい」と謝罪の言葉が口からこぼれた。
パパとママの言いなりはイヤなのに。結局、自分一人じゃ何もできない。


