ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

肌と肌が触れ合って、心臓の音はどんどん早く大きくなっていく。

私、このまま抱かれ死にしちゃうかも!? それだけは絶対にこまる!

てか、抱かれ死になんてあるのかな?

───ぐるん。

そのとき、視界が反転した。一気に目の前が暗くなる。

なにが起こったかというと。

勢いをつけて私を抱き上げるから、伊緒くんのお腹の上に乗っかっちゃったの!

私の顔は伊緒くんの胸元にぴったりくっついていた。

目の前には黒いTシャツ。


「!?」


はっと顔を上げれば、私を見てニヤニヤしている伊緒くんと視線がぶつかる。


あの、ちょっと、これはどういう状況で……。

目をパチパチさせると。


「こうやって抱くのもアリだろ?」


伊緒くんの低い声が、お腹の下から響いてくる。

なんだか、すごいセリフを言われているような気がするんだけど……。


「あ、あり、です……っ」

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