買われた娘は主人のもの

エピローグ

………

 ある日の夕暮れ時、この屋敷にやってきたばかりの新人のメイドがコリーンに尋ねる。
 彼女は人嫌いの主人がいるこの屋敷に、だいぶ久方ぶりに入ったメイドだった。

「コリーン先輩…?」

「何かしら?」

 コリーンはそう、いつもの澄まし顔で後輩に応えた。

「…御主人様専属であるエイミ先輩は、なぜよくテイル様といらっしゃるのですか…??御主人様は先輩をとても気に入っていると聞きます。…しかし御主人様はとても嫉妬深い方だとか…ですから、その…」

 後輩メイドの好奇心と心配の入り混じるようなそんな質問に、コリーンは澄ましたまま答えた。

「さあ、なぜかしら。でも確実に、一つだけ言えることがあるわ」

 コリーンは今度は真っ直ぐに後輩を見て続きを告げる。

「エイミは、このお屋敷に来たときから『御主人様』のものなの」

「…え??」

 答えになっていない答えに、後輩メイドはさらに口をポカンと開けて首を傾げる。
 それを見たコリーンはそれについてはもう何も言わず、上品に口に手を当てて笑った。

 その時、バラドがコリーンたちのもとにやってくる。

「コリーン、御主人がお呼びだ」

「はい、バラド様」

 コリーンはまた澄まし顔でそうバラドに応え、部屋を出る。
 そして一人小さく笑った。

「…ふふっ…さて、エイミはまだかしら?お風呂に入れて、磨き上げてあげなくちゃ…!」

………
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