お前に愛を捧げる〜精神科ドクターの情愛
それから間もなくだった、剣崎が亡くなったのは……

玲子も僕も途方にくれた。

医者を目指す友を亡くすなど、人生は何が起こるかわからない現状を突きつけられてしまった。

玲子は全く人が変わったみたいになった。

大学を休学し、外に一歩も出る事はなかった。

僕は精神科を専攻した。

それは玲子の今後に不安があったからだ。

僕だって精神的ダメージを負ってないと言えば嘘になる。

しかし、玲子の精神的ダメージは計り知れない。

僕は玲子の家に様子を見に行った。

玲子のご両親が部屋に案内してくれた。

「玲子、戸倉だけど、部屋に入れてくれないか」

全く返事が無い。

廊下には玲子のお母さんが用意した食事が、手をつけずに置いてあった。

「玲子、少しでも食べないと身体がまいっちゃうぞ」

僕はどうしたらいいか悩んでいた。

玲子の部屋は内側から鍵がかけてあり、全く中の様子がわからなかった。
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