あやかし戦記 妖艶な夜に悪夢を
部下のアレンたちに稽古をつけた時、上手に戦えるように丁寧に指導をした。

「ここでこう動くと、一撃で仕留められるわ」

「なるほど!ありがとうございます!」

アレンや他の部下の笑った顔を思い出すと、胸が痛む。殺し方を何故こんなにも教えなければならないのか、何故自分はナタを振り回す道を選んだのか、ウィリアムに嫌われていないのか、不安と痛みだけが心に積もっていく。

「私は、生きて彼の隣にいていいの?」

そんな想いを抱えながらベッドで眠る。しばらくして、誰かに頭を撫でられる感覚で目を覚ました。目を開ければ、愛おしいウィリアムが心配そうにしている。

「うなされていたよ、大丈夫?」

ウィリアムが呪文を唱えると、キッチンから温かいココアがカップに入れられてゆっくり飛んでくる。このマグカップは、ウィリアムとお揃いで買ったものだ。

「落ち着くためにもこれを飲んで」

「ありがとう」

くどすぎない優しい甘さが口に広がる。二口、三口とチェルシーはココアを飲んだ。開いた口から、ずっと思っていたことが漏れる。
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