【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない
「昴先輩……」




左手の親指を依乃里の唇に添えて顔を限りなく近づけた昴だったが、自身が風邪であることを思い出してすぐに離れた。






本当ならここで彼女の唇に触れたい。けど……。






「風邪がうつるといけないから今日はここまでにしとこうか」






「私は別に気にしないのに...」





気にしないでいてくれるのは嬉しいよ。だけどそれは逆効果だ。





「そんなこと言わないでくれ。このまま離せなくなるだろ?」





そう、キミのその一言が俺を暴走させる引き金となるんだ。




これからはそういうことも教えていかないとな。男として。





「っ…!」






すぐに赤くなった。このまま離すのは名残惜しいが、今日は諦めよう。






「依乃里」






「な、なんですか?」






「何慌ててるの?」






理由は分かっているけど、反応が面白くてつい、意地悪をしてしまう。







「先輩が急に名前で呼ぶからその、恥ずかしくて///」


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