【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない
この日はそれから一度も先輩には会えなかった。





翌日も姿すら見ることなく、一日が過ぎていった。






毎日欠かさず会って話していたから心にぽっかりと穴が空いた感じがする...。






代わりに私の隣にいるのは...。





「どうした?」






人気Vtuberの明星タイムこと、東八雲くん。






私がずっと観ていて憧れていた人が目の前にいるのに全然嬉しい気持ちにならない。






昨日で分かったのは八雲くんはちょっと強引なところがある俺様系男子だということ。






配信している時とは大違い。






「はぁ...」




なんか夢が壊れた気分……。




「何ため息ついてんだよ。俺が隣にいたら不満か?」



依乃里にとっては重大なことだが、八雲はその重大さに気づいていない。




その無神経な発言は依乃里の怒りを積もらせるばかりだ。




「当たり前だよ。私の隣にいてほしいのは昴先輩だけなんだから。いくら八雲くんが憧れだった明星タイムさんだからって嬉しい気持ちにはならないよ」





依乃里は俺様系の男子が苦手。理由は積極的過ぎると疲れてしまうから。





本来なら積極的に話しかけられるのは苦では無いはずの依乃里だが、幼い頃からあまり外に出なかった彼女にとってはコミュニケーションは苦手な分野の一つだ。





「それ、あんまり言うなよ?一様隠しているんだから。俺、騒がれるの苦手だし」







「隠しといた方がいいかもね。八雲くん、配信やっている時と全然話し方違うし。配信の時は優しい人だなって思ったのにこんな俺様系の男子だったなんて」







「なかなか言うなお前。てか、その方が観ている側も話しやすいだろ?上から目線の口調だと軽いヤツだと思われるし」


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