【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない
イベントの翌日。




彼女の憧れの人が同じ学校の後輩だと知ってから俺の中で焦りが生まれた。






明星タイムが大人だとしても俺は焦りを絶対に覚える。






『はぁ、やっぱりお前には依乃里のそばにいる資格はない』






そうだ、俺にはそばにいる資格がないんだ。





勝手にそばを離れて、彼女を不安にさせて体調を悪くさせたのは俺。






理由を言わないで彼女のそばを離れて代わりに東くんが隣に立つことになったのも俺が行動した結果だ。







大事に想う人のそばにもいられないで、ただ逃げてばかりの俺は最低な奴だ。







昴が依乃里の噂を知ったのはお昼ごろ。






教室では委員会の仕事をしていると、クラスの男子から依乃里のことについて聞かれた。






「なぁなぁ、一年生の榛名依乃里って彼氏できたのか?」






「なぜ俺に聞く」




低いトーンで返すとクラスメイトは一瞬怯みを見せるも、あまり気にせず会話を進める。
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