【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない
昴先輩…。






これから先話すことが出来るのかな。もしかしたらもう、顔を合わせることさえないかもしれない。





『風邪に気をつけて、楽しい冬休みをおくってください』






終業式の今日は午前授業。お昼を食べてから帰る人もいれば、そのまま帰る人もいる。







このまま帰っちゃおう。何もやることないし。






「依乃里」





男子の声がしたから昴先輩と思っていたけど八雲くんか。





「八雲くん。今帰り?」





先輩の声を忘れかけている…とかじゃなくて単に会いたくて仕方ないんだ私。






「まぁな。なぁ、明日暇か?」






暇なのは非リアだけ。私だって本当は…。もう八雲くんに当たって仕方ないか。





また溝ができたのは私のせいだし。





「特に用事ないけど。誰かさんのせいで、昴先輩とクリスマス過ごせなくなったし」






あ、また八雲くんに当たっちゃった。こんなの八つ当たりだよね。






「あー…うん、俺のせいだな。だから埋め合わせに明日あるイベントに一緒に行かないか?」
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