甘い夜の見返りは〜あなたの愛に溺れゆく
案内された会議室には、西条HDの役員1名と湊さん、弟の孝さんが座っていた。
佐々倉からは、お父さんと役員2名、木島さんと私が参加した。
西条HDの役員は、社長の代理で来られたらしい。
「社長は海外に出張しており、私が代わりのご挨拶で失礼します。ご足労いただき、ありがとうございます」
佐々倉の役員と違って、重厚な感じがした。
「傘下といいましても、今まで通りに経営していただく中で、当社の考えも取り入っていただき、……」
私は皆が話をしている中、こちらを見ている孝さんと目が合った。
私が微笑むと少し微笑んで、軽く頭を下げてくれた。
「では、社内をご案内致します。どうぞごゆっくりご覧下さい」
社内の案内は、管理部で弟の孝さんが回ってくれた。
佐々倉の事務所とは全く違うオフィスの雰囲気。
勿論、外観、内観も違えば、働く人達の身なりも空気感も全く違う。
飛び交う言葉に無駄は無く、淡々と仕事が進む感じだった。
若い人達が集まっている会議室を覗いた時は、皆が前のめりになって、意見を出し合っていた。
湊さんは、いずれこの人達の社長として、西条HDのトップに立つ人。
改めて感じる、自分との格差。
それは、夢の時間の終わりを告げる。
手の届かない人なんだと、寂しさが込み上げて来た。
「最後に、秘書をご紹介します。他にも数人いますが、こちらが社長秘書の高山、こちらが、秘書で管理部も兼務しています、野木です」
「宜しくお願いします」
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