甘い夜の見返りは〜あなたの愛に溺れゆく
湊さんは、プロジェクトの大詰めで、毎晩、遅くまで仕事をしている。
「湊さん、コーヒー淹れました」
「あぁ、ありがとう」
目頭を指で押さえ、目薬を差していた。
「大丈夫、ですか?」
「あぁ、あと少しだからね。結羽、ちょっと来て」
私が傍に行くと、私の腕を引っ張り、湊さんの膝の上に座らせた。
「少しだけ…」
腕を背中に回し、私の胸に埋まる湊さんに、変らずドキドキしている。
「充電中だから、じっとしてて」
言われるがままに、私はじっとしていた。
「ねぇ、結羽なら俺と一緒に、どんな所に泊まりたい?」
突然の質問にびっくりした。
「湊さんとなら、どんなところでもいいですけど」
「せっかくお金をかけて、2人でゆっくりと過ごすのに?」
「た、確かに、そうですよね。静かにその場所の雰囲気を味わいたいですし、一緒に…」
「一緒に?」
「露天風呂に2人だけで、時間も人の目も気にせず、入りたいです」
「そうだね」
「2人だけの異空間の世界を味わいたいですよね。同じホテルでも、違うタイプのお部屋に泊まれたら、毎回楽しみもあるし」
「プライベートリゾートのような、それでいて、その時によって、違う気分も味わえるってことか…」
「人生のシーン毎に、泊まるところって、変わると思うんです」
「そうだなよな…それは大きな違いだよな」
「だから…」
「だから?」
「…いえ、私の空想の世界です。今のプロジェクトはどんな企画なんですか?」
「どちらかというと、ちょっと若い世代向けに偏ってるかもしれないな。外観もそうだし。もう、企画も完成に近いんだけど、少し変えてもいいかもしれない。取りあえず、俺の考えを別案として、作っておくか。ありがとう」
私から離れた湊さんは、またパソコンに向かい始めた。
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