再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません

リップノイズが鼓膜を震わせると同時にキスから解放された。

私はぼんやりしながら悠くんを見つめていた。

目がじーんと熱い。

恥ずかしさを感じていたくせに、いざ終わると寂しさを感じてしまう。

悠くんは広げていた日傘を折りたたんだ後、私の耳元に唇を寄せた。


「呼吸、上手に出来たね」


その甘さのある声に、体がぞくぞくして思わず肩を震わせてしまった。


「悠くんが教えてくれたから……」


キスする時に背中に腕を回すことや、鼻で呼吸することも、悠くんから教わった。

本当なら同性の友達の話から知るところだけど、私には友達がいないから、必然的に悠くんから知識を得ることになる。

ここまで無知な女子高生って中々いない気がする。

こんな私を悠くんは面倒くさがる様子を見せず、受け止めてくれる。

これからも色々教わって、少しでも悠くんに釣り合うようなオトナになりたいな……。


悠くんをじいっと見つめていると、いつの間にか腕の中に閉じ込められていた。

私の鼓動が伝わってしまいそうなほど密着している。


「好きだよ」

「私も、好き……」


ためらいながら悠くんの背中に腕を回すと、ぎゅうっと抱き締め返した。

言葉では言い表せられないくらいに、悠くんへの“好き”がまた大きくなっていった。
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