再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
今のは私を呼んでいたの……?

日頃無視されている私は、呼ばれていると気付くまでに十数秒ほどかかった。

ゆっくりと振り向くと、そこには同じクラスの女の子が二人並んでいた。

その内の一人は私を呼んだ声の主で、桐谷さんと仲が良かった子だ。


「はい……」


何を言われるんだろう……と思わず身構えてしまう。

以前、悠くんについて根掘り葉掘り聞かれて、不安をあおるようなことばかり言われた日を思い出してしまう。


「そんなに怖がらないでよー」


そんなこと言われても……怖いものは怖い。


「桐谷さんと関わらない方がいいよ」

「え、どうして……?」


彼女の言葉に私は耳を疑った。

いつもなら“真菜”と呼んでいたからだ。

戸惑いを隠せない私に彼女は答えてくれた。


「桐谷さん、殺人未遂者の血縁者だからだよ」


殺人未遂者の血縁者? 話が全く見えないよ……。

どう返せばいいか窮していると、二人は私に笑いかけてきた。

その笑顔はいつもの嘲るようなものではなく、友好的な印象を受けた。


「うちら本当は笹山さんと仲良くしたかったんだー」

「良かったら一緒にご飯食べない?」


何、この手のひら返し……。

前まで遠くから私を見て嗤っていた癖に。


「ごめんなさい。しなきゃ行けない課題が残っているの」

「笹山さん?」


彼女達の誘いに乗れば、長く続いた孤立した日々が終わるというのに、私は断っていた。

思っていたより私は、人間不信になってしまったみたい。

私は逃げるように踵を返し、来た道を戻って行った。
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