僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』

本文

 日曜だけど、どうしても処理しておかねばならないことがあって、休日出勤をしていた今日。

 手伝いを頼んでいた学生数名から
「館長、これ、バレンタインです」
 そう言ってそこそこ大きな包みを渡されて、僕は少し戸惑った。

 義理チョコなのは分かっている。
 けど、他の女の子たちからのプレゼントを持ち帰ったら、葵咲(きさき)ちゃんはどう思うだろうか。


「あ、あのっ、館長が彼女一筋なのは分かってます! これはバイト()()()からのものなので、深く考えずに受け取ってください!」

 そう言われては、固辞するのも躊躇(ためら)われて。

 僕は少し考えてから
「じゃあこうしよう。休憩室に置いておくから、みんなで食べよっか」

 そう言うことにした。
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