僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
本文
「葵咲、別れよう」
理人に冷ややかな視線で見下ろされて、私は一瞬で息が出来なくなる。
何で?とか嘘でしょう?とか、頭の中では沢山の言葉が渦巻いては消えるのに、何ひとつ声に出せなくて。
そんな私を見つめて大きく溜め息をひとつ落とすと、理人がくるりと踵を返してしまう。
――ねぇ、理人、待って!
そんな大事な言葉でさえも喉の奥につっかえて出て来なくて。
せめて追いすがりたいと思うのに足が鉛のように重くて動かせないの。
「――っ!!」
何ひとつ思い通りに操れない身体に、声にならない悲鳴を上げて、遠ざかる理人に向けて手を伸ばした。
理人に冷ややかな視線で見下ろされて、私は一瞬で息が出来なくなる。
何で?とか嘘でしょう?とか、頭の中では沢山の言葉が渦巻いては消えるのに、何ひとつ声に出せなくて。
そんな私を見つめて大きく溜め息をひとつ落とすと、理人がくるりと踵を返してしまう。
――ねぇ、理人、待って!
そんな大事な言葉でさえも喉の奥につっかえて出て来なくて。
せめて追いすがりたいと思うのに足が鉛のように重くて動かせないの。
「――っ!!」
何ひとつ思い通りに操れない身体に、声にならない悲鳴を上げて、遠ざかる理人に向けて手を伸ばした。