僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
葵咲(きさき)、久しぶりに一緒にシャワーを浴びようか」


 立ち上がって、耳朶を()みながら問いかけたけれど、葵咲ちゃんは「いい」とも「ダメ」とも言わない。


 それは、裏を返せばOKのサインだと、僕は知っている。


「先に入ってて? ――服を脱いだら僕もすぐに行くから」


 痛いくらいに張り詰めた下腹部を、意図的に葵咲ちゃんの腰のあたりに擦り付けると、僕は熱っぽくそう(ささや)いた。



 お風呂の中で葵咲ちゃんを抱くのは、確か温泉旅行以来だったかな?


 うちの風呂はあの時より狭い空間だから、きっと彼女の可愛い声がよく響くはずだ。

 さて、ゴムはいくつあったら足りるかな?


 そんなことを考えたら、僕はとても幸せな気持ちに包まれる。



 さっきはあてにならない天気予報だと舌打ちしたい気持ちになったけれど、今は少しだけあの嘘つき天気予報に感謝してやってもいい。



   END(2021/04/19〜4/22)
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