僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
「ね、葵咲、このままベッド行こっか」

 甘えるように誘ったら「な、んで?」って返ってくるのも、想定の範囲内。


「何で?って。さっき僕、ちゃんと言ったと思うんだけどな? 今日はハグの日だよって」


 だから裸で抱きしめ合うのは()()()()

 もちろん、僕は何でもない日だって、何だかんだと理由をつけてキミに欠かさず触れるんだけどね。


 けどさ。年に1回。今日ぐらいは「ハグの日」のせいにして、思う存分甘えても構わないよね?


「――葵咲、愛してる」

 葵咲ちゃんの小さな身体を、柔らかな胸ごとギュッと抱きしめながら、僕は彼女の真っ赤になった耳元に愛の言葉をささやいた。


     END(2021/08/09)
< 266 / 332 >

この作品をシェア

pagetop