僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
「さっきまでは一晩中でも飲み明かしたいって言ってなかった?」

 僕がグラスから口を離したのを見計らったように、真咲(まさき)が言う。
 至極当然の問いかけに、状況が変わったことを話したら、盛大に呆れられてしまった。

「昔からそうだったけど……。ほんっと、池本は彼女至上主義だよね」

 それ、褒め言葉?と聞いたら、思いっきり可哀想なものを見る目で見られた。

「でも、やっぱりうらやましいよ。俺も少しくらいお前みたいに生きてみたかった」

 真咲の渋い顔は、何もビールの苦味のせいばかりじゃないはずだ。
 どこか苦しげに言われた言葉が、何だか心に引っかかってしまって。

「真咲……」

 思わず声をかけたら、まるでそれを遮るように、「よし、じゃあ今あるの(これ)飲んだらお開きにしよっか」って強制終了されてしまった。


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