僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
***

葵咲(きさき)
 部屋に入ると同時にふたり分の荷物を足元に置いて、僕は葵咲ちゃんをギュッと抱きしめた。

「えっ、ちょっ、理人(りひと)っ!?」

 密室に入ればこうなることは分かっていただろうに、本気で驚いた顔をする葵咲ちゃんが愛しくて堪らない。

 僕がこんな性格なのは百も承知だろうに……反応がいちいち初々しくてそそられる。

「ねぇ、どうしよう? 僕、我慢できないんだけど……」

 抱きしめた葵咲ちゃんの耳元で、耳朶(じだ)に直接息を吹き込むようにそう問いかけると、彼女がゾクリと身体を震わせたのが分かった。
 腕の中で小さく身じろぐ葵咲ちゃんの足に上手く力が入らなくなって、僕の腕に体重がかかってきたのが分かる。

 ほんの少し煽っただけでこの反応。

 感度が良すぎて本当に危険だ。

 僕以外の男に触られてもこんな風になってしまうんじゃないかと思うと、僕は常に気が気じゃないんだ。
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