わたしたちはどこまでも 未熟だった

あの時とは違うわたしで
『わたしも風俗だよ』って
パッと言えたら
わたしたちは何か違う形で繋がってた?

何も質問していなかったら
あなたをかき乱したりせずに済んだ?


アツシにさえも話せないわたしの職業。

でもあなたの一言で
わたしはその時勝手に
自分のこと何も話してないくせに、
一緒に頑張れそうな気でいて
彼女に吸い込まれていく。

それがどんな意味をもつ感情なのか
自分でもわからない。

付き合った人はそれなりにいたけど
本当の恋愛感情がどういうものなのか
わたしはしらない。

わたしの勝手な欲望に
過ぎないのかもしれない。

何を愛と呼ぶのかもわからない。

彼女と仲良くなりたい気持ちと
踏み込んではいけないような気持ちが
わたしの中でぶつかり合う。

どれぐらい時間が過ぎただろう。

彼女はカウンターから
わたしをじっとみつめていた。

この子はなんなんだろう?
というようなまんまるとした瞳で。

ボーイッシュな容姿で
職業が風俗って事が見透かされているような。

きっとどこか違和感があったんだろう。

『なによあなたたち〜!早く連絡先交換しちゃいなさいよ〜』
ケンジさんが間に入って
彼女は
わたしに連絡先を渡してくれた。

そしてわたしたちは
またねって交わして
わたしは帰宅した。

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