名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
「あー、先生。谷野さんを泣かしてダメじゃないですか」

「いや、今? 泣かすような事言った?」

「谷野さんは貴重な人材なの、先生の鬼リテイクを文句言わずに直してイメージ通りにしてくれる人は、なかなかいないんだから! 最近の人はすぐにキレるからね。貴重な人材を虐めないでくださいよ。これからは、先生以外の仕事もお願いすることになるんですからね」

「発掘した人に優先権があるんだよ」

「先生の仕事もしてもらいます。他の仕事もしてもらいます。いいですね谷野さん」

 なんだか夢みたいな話で感激して涙が止まらない。精一杯の気持ちを込めて返事をした。
 「はい、頑張ります」

 ハンカチで涙を抑え、俯いていると朝倉先生が呟いた。
「あれ?どこかで会ったような……」
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