名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
 我が娘・美優は、身長74.2cm 体重9.8キロと女の子にしては、大きめで「健康優良児ですね」と保健婦さんに褒められる。

 不安だらけの子育てに”大丈夫”とお墨付きをもらったようで、安心した。
 離乳食も一日3回となり、乳幼児用マグカップで水分を取れるようになっていて、そろそろ断乳をしても良いと指導を受けた。

 『断乳』それは、母乳を絶つ事で、赤ちゃんは、ママのおっぱいを卒業するのだ。赤ちゃんの吸い込む力も強くなり、先端が切れて痛みがある。娘は、私の血液を飲んでいるのか母乳を飲んでいるのかの状態だ(汗)これは、断乳する頃合いだろう。

 健診が終わり、エレベーターで区役所1階まで降りた。区役所1階は、住民票の登録や印鑑証明、戸籍の届け出窓口があり、たくさんの人で混み合っている。
 その人混みの中をトボトボと駐車場へと続く出口を目指し歩いていた。

「夏希? 夏希じゃないか」
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