名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
 地下駐車場へと続くエレベーターのスイッチを押すと扉がスッと開き、乗り込んだ。
 混んでいる日にも関わらず、エレベーターの中は私達だけだった。
 サイアク!

「夏希、あの時、俺は結婚していたし、それを隠して付き合っていて悪かった。夏希が怒ったのも無理はない。けれど俺の話しを聞いて欲しい」

 それを聞いて今更どうするのか? と思ったが、この子の父親である事を告げるチャンスだった。
 今、重要な分岐点に立っている事は分かる。
 だけど、決心が付かない。

 頭の中は大パニック、ぐるぐると色々な思いが過ぎる。
 んんっ⁉
 ココで、あることに気が付いた。

 区役所で会った時は、ただの偶然で懐かしくて声を掛けたのかも知れないけど、今日、声を掛けて来たのは不自然だ。
 それなのに私に声を掛けて来たという事は、もしかて、美優の事を自分の子供だと気が付いたのだろうか?
 でも、知らない間に父親にされてしまって、こんなに自然と声を掛けてくる事が出来るとも思えない。
 ただ、過去の過ちを謝罪したいだけなのだろうか?
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