名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
 朝倉先生が、買い物から帰って来たようで、コトリと荷物を置く音が聞こえた。
 浅い眠りの中で温かい布団に包まれ、微睡んでいると朝倉先生が近づいて来る気配を感じる。
 おでこに手を当てられ、やがて首筋にその手が移動し、熱があるのを確認しているようだった。
 
 唇に何か温かく柔らかい感触を感じた。

 それは、ほんの一瞬と言って良いほどの短い時間だった。
 夢うつつの中で不思議な気がした。

 ガサガサという音の後に、おでこに冷たいシートが張られて、朝倉先生の気配が遠ざかる。

 勘違いかも知れない。
 けれど、ドキドキして顔が火照っているのが、バレないように寝返りをうつフリをして、横向きで掛布団の中に潜り込んだ。

 ナニ、ナニ、ナニ、ナニーッ!!

 私に何が起きた??

 朝倉先生にキスをされた 
 願望が見せた妄想? 夢? 
 ああ、そうか、熱に浮かされて妄想が夢になって出てきたんだ。
 それならナトック!
 私、ヤバイなぁ。妄想激し過ぎ、暴走しちゃっているよ。
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