すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
ぎこちない2人
「帰りにさ、コトん()の近くのコンビニ寄って、酒とか買って行かね? 何かまだ飲み足りねぇし」

 タクシーを呼ぶなりそう言って、(うかが)うようにこちらを見てきたヒロの提案に、今から彼が〝恋人として〟我が家に来るんだと実感させられて、にわかに緊張して……。

 それをほぐすのにお酒の力を借りるのは大賛成だって思った。


 結果、やって来たタクシーの運転手さんには、うちのアパート近くのコンビニを指定してそこで降ろしてもらって。


 いま店内で、各々が飲みたいお酒を選んでいる所です。



「ヒロって結構お酒の好みが老成した感じだよね」

 ほぼ迷うことなくコンビニオリジナルブランドのパック入り焼酎――1800ml入り!――をかごにひとつだけポン、と入れたヒロを見て、私は思わず本音がポロリ。

 そう言えば失恋したばかりの彼を(ねぎら)おうと『菌次郎(きんじろう)』に行った時も、ヒロの2杯目は焼酎だった。

「しかも〝芋の達人〟って……」

 何とも微妙なネーミングにクスクス笑ったら、「芋焼酎ってさ、結構まろやかな口当たりで美味いんだぞ? 知らねえのか?」って言いながら、私が抱えて来た缶酎ハイを奪うようにカゴに入れてくれる。

 そうして、「コトこそ桃、グレープ、コーラって……ジュースみたいなんばっかじゃん。こんなんでお前、酔えるの?」ってケチをつけてくるの。
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