すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
***

「どうぞ」

 コンビニで買ったものは水物ばかりだったから、すごく重くて。半分持つよ?って言ったんだけど、ヒロは「こんくらいどーってことねぇよ」って持たせてくれなかった。

 コンビニからアパートまでは徒歩数分圏内だったけれど、少しでも早くヒロを(ねぎら)いたくて、私はアパートに着くなり小走りに階段を駆け上がって、ドアを開けてヒロを部屋に迎え入れた。

「――ごめんね。重かったでしょ」

 眉根を寄せながら言ったら、ヒロが「んー? こんくらい平気だって言ったろ?」って言いながらも、荷物をリビングのテーブルに置くなり「けどご褒美もらえたら嬉しいかも?」って自分の頬をちょんちょんってするの。

 私はヒロからのその催促に、ちょっと照れながらも彼のほっぺにチュッてキスをしてから、逃げるようにキッチンに戻った。

「ちょ、ちょっと待っててね。す、すぐにおつまみ作るから」

 照れ隠しにしどろもどろに早口でまくしたてながら、「テレビでも観てて?」って付け加える。
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