すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
*初めてなんですが、それでもよろしいですか?
「なぁ、コト、ちょっとピッチ早くねぇか? ホントに平気か?」

 ヒロが、私が作ったものを食べながらお酒を飲んでくれていると思うと、何だかすっごく嬉しくて。

 ついついペースが早くなってしまっていたみたい。


大丈夫(らいじょぶ)!」

 そういえば、そのさんとヒロと私の3人で、居酒屋で少し飲んでいたのを忘れていました。

 缶チューハイ3缶なんて、いつもなら全然問題ない量なのに、最後の1缶――桃の酎ハイ――を開けて数口で、何だかめちゃくちゃ楽しくなってきて、「あ、これ酔ってるな」って自覚する。

「ごめん。ちょっぴり酔ってるみ()い」

 言ったら、「だな」ってヒロが私の手からグラスを取って、テーブルに置いた。

 対するヒロはまだ1杯目のロック――氷が溶けてだいぶ薄まってる?――をまだちびりちびりと飲んでいるところ。


「ヒロは全然(じぇんじぇん)減ってにゃいね」

 言ったら、「俺まで酔ったらコトを介抱するやつがいなくなんだろ」って。


「わ〜、出ましたね。安定(あんてー)のお兄しゃん気質(きしちゅ)

 へらりと笑ったら、「お前相手に兄貴でいてやれると本気で思ってんの?」って問いかけられて。

「へ?」

 ヒロの、思いのほか低く甘えた声音にキョトンとしたら、そのまま手首をグイッと引かれて唇を塞がれた。
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