すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
「えっ!? ……あの、可愛いって言ってた後輩?」

 柳川(やながわ)が失恋したことなんて、先刻承知だったけれど、さも知らないみたいに驚いてみせたの、わざとらしくなかったかな?


「……なんだ、鳴宮(なるみや)。お前、知ってて飲みに誘ってくれたんじゃねぇのか」

 言われて、「……たまたまだよ」って答えながら、内心ヒヤヒヤだ。



「あの、すみませ〜ん。高砂(たかさご)純米スパークリングとおぼろ豆腐ください」

 それを誤魔化すみたいにグラスに残っていたビールを飲み干すと、日本酒とおつまみを追加注文した。


「おい。あんま飲むなよ? 俺、今日は結構ヤケになってるし、間違いが起こらないって保証、してやれねぇからな?」

 目を眇(すが)めるようにして言われて、トクンッと心臓が跳ねた。


 ね、柳川、間違いってなに?
 起こったら私、逆に嬉しいやつじゃない?



「お前さ、2年になってすぐ髪型とか変えただろ。それがな、ちょっと」

 ――今の俺にはソワソワすんだよ。

 そう小声でそっぽを向くようにして付け加えられたのは、いい傾向……?
< 14 / 172 >

この作品をシェア

pagetop