すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
 新しくテーブルに置かれたばかりの日本酒を、照れ隠しに半分以上一気に煽って。
 ぎゅっとグラスを握り締めると、手元を睨むようにじっと見つめた。


「柳川(やながわ)。私――」

 危うくお酒の力を借りて「貴方が好きなのっ」って告白しそうになって、慌てて口をつぐんだ。

 ――私のバカ! 傷心の柳川相手に何やらかそうとしてるの!


 急遽路線変更をして、

「――思うんだけど……今更それ言ってくるとか超アウトだよっ? イメチェンしてからどんだけ経ってると思ってんのっ! 言うなら変えた直後にしなさいよね? ――じゃないと、折角気付いたのに台無しになっちゃう!」

 わざとらしく柳川の肩をペシペシ叩いて、「タイミング大事よ?」と付け加える。

 柳川が私の変化に気付いてくれていたこと。それを口に出してくれたこと。
 本当言うとね、私、泣きたくなるぐらい嬉しい。
 正直タイミングなんてどうでもいいの。
 柳川が、私のこと、ちょっとは見ていてくれたんだって分かっただけで、全身の血が沸騰してしまいそうなぐらい喜んでる。

 でも、それ、表に出したらダメだって思った。
 ひねくれててごめんね。


「そういうところを押さえといたら女の子って喜ぶから覚えておくといいわっ。……ゆ、《《友人》》からの有難ぁ〜いアドバイスね」

 柳川は一気にまくし立てた私に一瞬瞳を見開いてから、「覚えとく」って首肯した。

 それを確認してから、私は握りしめたままだったグラスの中身を一気に飲み干す。


「ちょっ、お前、大丈夫か? それ日本酒だったよな? ピッチ早すぎだろ」

 途端柳川が心配したように私の顔を覗き込んできて。

「ら、大丈夫(らいじょぶ)よ」

 柳川に見つめられた顔がぶわりと熱くなったのは、お酒のせい? それとも――?


 そんな私をなおも心配そうに見つめてくる柳川(やながわ)の視線が痛くって。

 私はそれに耐えきれなくなって、
「そっ、そろそろお開きにしよっか」

 そう言って、自分から誘った会合に無理矢理終止符を打った。
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