すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
玄関を入ってすぐのキッチンにある壁掛け時刻は22時を回った辺りをさしていた。
こんな夜遅くに、一人暮らしの家に異性を誘うことの意味が分からないわけじゃない。
本当は……「幼なじみちゃんの代わり、私じゃダメかな?」って真っ向から聞いてみたい。
だけど、そんなの言えるわけないから。
だから色んな答えを先延ばしするみたいに、例え断られても痛手の少なそうな質問を選んで口にしたの。
私、すごく卑怯だよね。
「……ダメ、かな?」
私の問いかけに戸口のところへ佇んでうつむいたまま、何も言ってくれない柳川に、心臓がギュッと苦しくなる。
逃げ道だらけの質問でさえこれ。
――もっと直接的な言葉を投げかけて断られてしまったとしたら、私、耐えられる自信ないよぅ。
そこまで考えて、柳川は今朝、それをして傷付いて来たんだってハッとした。
そう思ったら無意識に――。
私、扉を押さえたまま距離を取っていた柳川に、真正面からギュッと抱きついてしまっていた。
「……お、おいっ、鳴宮っ、お前っ、何考えて……っ」
途端、今まで黙り込んだまま何も言ってくれなかった柳川が、慌てふためいた声を出して身じろぐの。
それが、私には堪らなく愛しく思えて――。
こんな夜遅くに、一人暮らしの家に異性を誘うことの意味が分からないわけじゃない。
本当は……「幼なじみちゃんの代わり、私じゃダメかな?」って真っ向から聞いてみたい。
だけど、そんなの言えるわけないから。
だから色んな答えを先延ばしするみたいに、例え断られても痛手の少なそうな質問を選んで口にしたの。
私、すごく卑怯だよね。
「……ダメ、かな?」
私の問いかけに戸口のところへ佇んでうつむいたまま、何も言ってくれない柳川に、心臓がギュッと苦しくなる。
逃げ道だらけの質問でさえこれ。
――もっと直接的な言葉を投げかけて断られてしまったとしたら、私、耐えられる自信ないよぅ。
そこまで考えて、柳川は今朝、それをして傷付いて来たんだってハッとした。
そう思ったら無意識に――。
私、扉を押さえたまま距離を取っていた柳川に、真正面からギュッと抱きついてしまっていた。
「……お、おいっ、鳴宮っ、お前っ、何考えて……っ」
途端、今まで黙り込んだまま何も言ってくれなかった柳川が、慌てふためいた声を出して身じろぐの。
それが、私には堪らなく愛しく思えて――。