すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
「……やな、が、わ?」

 痛みで眉根を微かにしかめながら、空いた方の手で柳川(やながわ)の胸元をそっと押し返しながら恐る恐る呼びかけたら、

「え? ――あ、……んんっ!」

 いきなり腰を引かれて、荒々しく唇を塞がれる。そんな事されるなんて思っていなかった私は、驚きに瞳を見開いた。


「ぁ、や、なっ、……が、……っ」

 口付けの角度が変えられるたび、(あえ)ぐように柳川に呼びかけてみるけれど、そのたび、まるで何も言わせたくないみたいに舌を絡め取られる。

 舌先が擦り合わされるたび、ぬるりとした感触とともにゾクゾクと快感が這い上って来て、私は嫌でも柳川に口の中を侵されているんだと自覚させられてしまうの。

 それが、ものすごく恥ずかしくて――。


 情けないけれど私、今までキスはおろか異性と付き合ったことさえなかったから。

 当然、こんな風に口の中を乱暴にかき回されたり、舐め回されるような行為、経験したことがない。


「あ、や……、お願、待っ、……っ」

 何とかしゃべろうと頑張るからか、段々息が苦しくなってきて。

 ペシペシと、柳川の胸元についた手で、彼の硬い胸板を叩いてみるけれど、それも徐々に力を失ってきてしまう。
< 29 / 172 >

この作品をシェア

pagetop