すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
***

 結局「返事は今すぐじゃなくてもええけぇね」って言われて、私はそのさんからニッと八重歯を見せて微笑まれた。

言凛(ことり)ちゃん、最後にひとつだけお願いがあるんじゃけど」

 本州の端っこの県出身だというそのさんは、元々地元の(なま)りを感じさせる言葉遣いをする人だった。
 けれど、告白してくれた途端、被っていた猫を脱ぎ捨てたように方言トークが解放されたように思う。

 そうは言っても、語尾にその名残(なごり)を感じさせられるだけで、本当の意味で分からない言葉を使われたりは、先の「ぶちくそ?」くらいだ。



「……お願い、ですか?」

 話し方が砕けて、少し垣根が低くなったように感じる分、何を要求されるんだろうと不安になった私だったけれど――。


「そんな固くならんでもええよ」

 クスクス笑われて、少しだけ肩の力が抜ける。


「俺の呼び名のことなんじゃけどね。〝そのさん〟から〝(きわむ)〟に昇格してもらえたら嬉しいなって思っただけ」

「きっ、きわっ!?」


 大好きな柳川(やながわ)のことですら、未だ苗字でしか呼べていないのに……何でそのさんを下の名で!?

 そう思ってから、そう言えば先ほどからそのさん、私のことをしれっと「言凛(ことり)ちゃん」って連呼してるってことに、今更だけど気がついた。
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